卯月書庫

卯月書庫 ―Hero's Life2―

マンガ・小説・etc.の読書解釈文ブログ

闇にとらわれる。梶原中尉の今後が心配です

 

 『一刀斎夢録』

    浅田次郎 文春文庫 上下巻

 

大正ときくと

大正モダンや女学生がもつ

和と洋がいちばんちょうどよく混ざり合った、

華やかな時代のイメージがある反面、

その華やかさとちょうど正反対に位置するような、

耽美で妖しくて

恐怖と好奇心の狭間のような闇も

同時に存在している。

そしてこの闇をもっともっと濃くした、

新時代では持ち得ようもない闇が

『一刀斎夢録』の世界を構成している。

……と思いましたまる

 

私の幕末観は

るろ剣』で生まれ、

司馬遼太郎で完成され、

『ちるらん』や『風光る』などのマンガで補強されたため、

“闇”というイメージは持っておらず、

『一刀斎夢録』を読んでしばらくは

この濃縮された闇の中、

ふと気づいて抜け出すまで少々時間を要しました。

魂がとらわれるというか……。

大好きな本を読んでいる時

現実世界の時間の流れではなく

その本の世界の時間の流れにいる。

そんな感覚です……。

語彙力!!

 

一刀斎こと斎藤一が語る

幕末や新撰組のこと。

その行きつく先は

人間が鬼という獣になる瞬間。

しかるべき時に死ねなかったがゆえに会得した

剣の奥義。

通い詰めて斎藤の昔語りを聞く梶原中尉は

この奥義を理解して

おそらく会得したと思います。

一人の剣術家としてさらなる高みに登れることは良いことです。

ですが彼は軍人であり明治人です。

斎藤の語りと

明治に生まれ大正にいきる人々の考え方とには

かなりの差があるように思えます。

斎藤の教えを糧とした梶原中尉が

今後軍人として生きていけるのか……。

大丈夫とも思えるし、

軍人やめちゃいそうとも思えるし……。

 

そうか! 警察官になればいいんだ!(!?

……とりあえずモダン・ボーイにはなれないことだけは確かですまる